梓会出版文化賞授賞式に出席してきました

すでに弊社ホームページやツイッター@kadensha)などでお伝えしておりますが、弊社は第31回出版梓会文化賞を受賞いたしました。
その授賞式が1月14日、日本出版クラブ会館で行われ、弊社からはその後の懇親会も合わせて6名が参加させていただきました。


当日は代表の平田が「受賞のことば」としてスピーチさせていただくということで、平田のみならず社員一同、非常に緊張して贈呈式に臨みました。
また、「選考のことば」として、選考委員の方の講評をいただけることもあり、そちらも非常に楽しみにしていました。
選考委員の上野千鶴子先生による「選考のことば」の中に、「大賞の花伝社は、審査員満票ですんなり決まりました」とあり、これは戦後70年を強く意識したラインナップを評価いただいたということでしたが、毎年喧々諤々の議論がなされると噂に聞いていた選考委員会において、「審査員満票ですんなり」というのは非常に驚きました。
改めて、弊社書籍を評価していただいた選考委員の皆様にお礼申し上げる次第です。


平田のスピーチですが、事前に何人もの社員から「くれぐれも短めに!」と釘を刺されていたためか、コンパクトかつわかりやすい内容だったのではないかと(身内びいき抜きで)思います。
個人的に私が良かったと感じたのは、自社の繁栄ではなく、新規の起業も含め、出版業界全体の活性化を目指して出版活動を継続する大切さを平田が説いていたことです。
それは他の受賞社の方のスピーチからも同じく感じられたことなのですが、もう常態化して久しい出版不況を、嘆きの言葉として、あるいは言い訳として用いるのではなく、「だからこそいい仕事をしてかなきゃいけないんだ」というモチベーションの源泉として捉える、その部分を評価していただいたのではないかと思います。
梓会は中小の出版社が会員の団体で、出版文化賞は、出版社が「いい仕事してるね」という同業者を顕彰するという非常にユニークなものですが、本当に今私たち出版業に従事する者は一丸となって出版界を盛り上げていかなければいけないのだと、改めて気の引き締まる思いがしたものです。
その後の懇親会では、多くの業界関係者の方とお話しすることができ、非常に刺激的で充実した時間となりました。
そして、普通の感覚で言えばライバルなのかもしれませんが、「これからもいい本を出していくんだ」という志を同じくする多くの出版社の方々とともに、業界を盛り上げていければと思います。


今回の賞は弊社がいただいた形ですが、これは、今まで弊社を支えてくださり、応援してくださった著者やデザイナー、印刷製本業者の方々、そして流通を担っていただいた取次関係の方々、売っていただいた書店員の方々、何より弊社書籍を読んでいただいた読者の方々を代表して頂戴したものだと思っております。
きれいごとでなく、出版とは著者をはじめ関連業種の方々や読者がいなければ成立せず、ましてや継続していくためには、それらの方々から多大なご支援をいただかなければ不可能な、きわめて公共性の高い事業だからです。
本当に、花伝社を支えていただいていることに感謝いたします。


懇親会の後、弊社メンバーだけで繰り出した二次会の席では、平田の好きな歌の話題になりました。
平田はなんでもその歌を聴くたびに涙してしまうそうで、「まさに自分の人生そのものだ」と語っていました。
「それはまた大げさな」と一瞬思ったのですが、「我も行く 心の命ずるままに」というその歌、「昴」の一節を思うとき、30年前、周囲の誰からも反対されながらこの会社を立ち上げた平田の決意がそのまま表現されていることに気付き、栄えある賞をいただいたこの日の最後、胸に込み上げるものがあったことを告白しておきます。
そして平田のスピーチには、「いつの日か誰かがこの道を」という思いが込められていたのかもしれない、とも。


出版という素晴らしい営みを仕事とする喜びをかみしめつつ、これからも花伝社は、皆様に「読んでみたい」「読んでよかった」と思っていただけるような本を出版できるよう、日々頑張っていきます。
今後ともご指導のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。
(佐藤)