【イベント報告】山本達也×宮台真司「世界、日本、地方都市〜予測不能時代の生き方〜」

はじめまして、今年から花伝社の営業部員として入社した白井耕平です。よろしくお願いします。
今回の記事は、山本達也『暮らしと世界のリデザイン』刊行記念で行った対談イベントについてです。5月25日の夜に下北沢の本屋B&B様にて、著者の山本達也先生と宮台真司先生が約2時間にわたって色々なお話をされました。現代社会の核心的な問題を議論するところにまで発展したこのイベントの報告をさせて頂こうと思います。

スタートから会場は満員で、しかもどちらかと言えば年齢の若い方が多く、その表情を見ると山本先生と宮台先生のお話を熱心に聴こうとする様子が窺えました。会場はとても良い雰囲気に包まれて、登壇者のおふたりを迎えました。

ジャケット姿の山本先生と、黒いTシャツ姿の宮台先生は、見た目も対照的ではありましたが、話す内容もまた強烈なコントラストを描くようでした。弊社の佐藤は、この組み合わせを「ある意味、異種格闘技戦」と言っていましたが、まさにそのような印象を受けました。
自然科学と産業社会の知見を用いる山本先生と、哲学をはじめとして精神分析民俗学などをベースに議論を展開する宮台先生は、アプローチの方法こそ違えど、対談の最後には「この時代における個人の生き方」を論点にして交差することになります。

山本先生は、まずエネルギーの文明論を解説し、そしてEdition4(ポスト・イージーオイルの時代)に適う都市像や、そこで小さなコミュニティを創っていく生き方について語り、その実践例として長野県松本市での「Matsumoto BBC」プロジェクトを紹介しました。他方で、宮台先生は山本先生の議論を引き継ぐようにして、「法外」の共通感覚に対する信頼によって支えられていた国民国家=大きな共同体が1990年代以降に衰退していったことを問題とし、そこから非寛容な存在が社会のあらゆる局面に出現したことを指摘します。こういった問題に対して宮台先生は、身近な話からアリストテレスまで引用しながら、最終的には「スモール・ユニットの仲間をつくれ」と回答をされていました。

あらゆる分野や観点を縦横無尽に行き交う山本先生と宮台先生の知性に会場は終始惹きつけられ、対談は駆け抜けるようにして終わりました。『暮らしと世界のリデザイン』が提起した問題と、その乗り越え方についてのおふたりの対談は、会場にお越し頂いた方々に響いたのではないかと思います。

最後に、山本達也先生、宮台真司先生、本屋B&B様、そしてご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました!