【新刊案内】加藤哲郎『731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦』

 昨年、400ページ、本体価格3500円にもなる研究書を刊行しました!

加藤哲郎『「飽食した悪魔」の戦後』

 731部隊で人体実験・細菌戦を仕掛けた医師が、戦後、金沢と東京で雑誌を刊行したり、銀座や新宿のお医者さんとなったり、文部省公認の性教育展を開催したり、はたまた、イスラムの教祖となったり(!)という、ひと言でいって「すごい」生涯を振り返りつつ、なぜ彼=二木秀雄や、他の3000人以上にも及ぶ関係者が、東京裁判で裁かれなかったのかを、アメリカ側のGHQについての資料からも明らかにした意欲作です。



本の刊行後、以下のような動きがありました。

  1. 2017年8月、NHKスペシャル731部隊の真実」の放映。
  2. 2017年12月、湯川秀樹1945年日記の公開。「F研究」へ関与の記述。
  3. 2018年1月、NHKBS1スペシャル「731部隊 隊員たちの素顔」の放映。
  4. 2018年4月、「満州731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」による、学位論文の検証請求。
  5. 2018年4月、「満州731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」が、国立公文書館によって、「関東軍防疫給水部」の「留守名簿」(3607人実名記載)が開示されたと発表。

 そこで、今回、前著をコンパクトな内容にまとめつつ、新事実についても盛り込んでいただいたのが、新刊の

加藤哲郎731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦』

731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦

731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦

です!



 今回は前著の要約のみならず、上記5つのニュースや、

ゾルゲが握っていた731部隊の細菌戦情報
近衛文麿首相の長男、文隆がシベリア抑留ののちに不審死を遂げる。が、そこに731部隊の元隊員たちがどう関与していたか

等々を盛り込んだ1冊になりました。




 この本だけでも、731部隊がいかに戦後の日本へ連続した形で入って溶け込んでいったのかが分かりますし、前著と合わせていただければさらに詳しく、「隠蔽」「免責」「復権」の構造を知ることができます。

 おかげさまで前著『「飽食した悪魔」の戦後』は増刷になりました! この機会に、731部隊に詳しい方も、知らなかったという方も、ぜひご高覧ください。

(山)