復興に向けてわたしたちのできること

随分ご無沙汰しております。
わが国、とくに東北地方を襲った大災害により、多くの方が亡くなり、傷つき、今も日々厳しい状況で過ごされております。
まずはお亡くなりになられた方に哀悼の意を表し、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

どの産業・業界も大震災の影響を受けていると思いますが、出版界でも深刻な事態が報告されております。
まずは東北地方を中心とした、被災地の書店様における被害です。最近では営業再開の知らせも届くようになりましたが、まだまだ復旧のめどが立たない書店様も多いと聞いております。その他にも、製造工場の被災による操業停止と保管倉庫の被害に起因する、紙とインクの不足が懸念されています。徐々に状況は改善されているようですが、震災前と同じような生産能力の確保には時間がかかる見通しです。これを期に電子書籍化が進むという見方もあるようですが、実際はまだ分かりません。
弊社におきましては、お取引先各位の不断のご努力により、なんとか新刊を出し続けることができております。この状況下、出版活動を継続できていることに感謝したいと思います。
ちなみに地震当日ですが、事務所はかなり激しく揺れオフィス内に物が散乱はしたものの、メンバー一同無事でした。

花伝社のメンバーも個々人では様々な支援活動に協力させていただいておりますが、会社として、本業である出版の分野で何か復興に資することができないかと模索しております。
実際に動き出してもいるのですが、未曽有の災害をどう捉えて本にしていくのか、暗中模索が続いております。
震災から1カ月半、日々刻々と状況が変わっていく中で、求められる支援の形も変わってきています。
ただひとつ言えるのは、復興に向けた取り組みは先の長いものになるということです。このことを心に刻み、継続的な支援の大切さを自覚したいと思います。

本当に伝えるべき知と情報をパッケージ化し、少数意見であれ世に問うべきことはかたちにしていく――今こそ私たちのような小出版社の存在意義が問われているような気がしてなりません。
私たちの生業は、何か表現したいという方に伴走し、本というかたちをつくるお手伝いをし、それを少しでも世に広めていくことです。
現在この国では、あらゆる情報が錯綜し、いままでの規範や概念が説得力を失いつつあります。私たちは復興に向けて何ができるのか――出版社としての原点に回帰し、自分たちが進むべき道、出版すべき本を日々追い求めていく所存です。

(佐藤)