【営業日誌】フェアの面白み

営業の油井です。どうにか引っ越しが完了して、いつのまにか新オフィスで仕事をすることに違和感を感じなくなりました。たいへん綺麗なオフィスなので、すぐなじみました。後片付けのために旧オフィスに行ったりするのですが、むしろ旧オフィスのほうが違和感があって、ここでずっと仕事していたなんて信じられない気持ちです。新オフィス、すごく良いです。

書店営業を任じられてから、はやくも2年が経とうとしていますが、書店さんへ行くと、いつも面白いと思うのが、フェアです。
フェアとは、書店さんが独自に本を集めてひとつの棚をつくることで、出版社と共同でおこなったりもします。
先日、大井町にある有隣堂さんへ伺ったところ、「B級雑学グランプリ!?」というフェアをやっていて、マニアックな雑学が書かれた文庫本を出版社別に集めて、通路にある棚一面に並べられていました。思わず手にとってみたくなる本がたくさんあって面白かったです。そして、誘惑に負けそうになるのがフェアのおそろしいところです(財布のひも的な意味で)。
雑学の本に限らず、一冊だけで見たときの力は弱いかもしれませんが、ひとつにまとめて展開すると、ぐっと見えかたが変わって面白くなるのがフェアの魅力です。

世の中に即したフェアもよく見かけます。さいきんですと、どの書店さんでも原発地震関係の本を集めた震災フェアなどが行われています。しかしこの震災フェアでも、書店さんによっては切り口が異なるのが面白いです。このあいだ関西の書店さんをぶらりと見学してきたのですが、関東と関西の震災フェアの違いを発見しました。
関東の震災フェアでは、原発地震、避難の仕方に関する本などの切り口で展開されていることが多いです。大地震の日に帰宅難民が続出したこともあって、地図や避難方法の本が多く展開されています。一方関西では、放射能原発のみの展開されていることが多く、地震津波の本が入っているフェアは少なく感じました。関西では、地震の影響はあまりないためでしょうか。東北の書店さんでは、おそらく原発地震関連に加えて津波の本が展開されているものだと思います。
ほかにも、俳優の児玉清さんがつい先日なくなりましたが、児玉清さんが生前に書かれた本や小説の解説を書かれた文庫本を集めた追悼フェアを行ったりと、切り口はさまざまです。
書店員さんは、世の中の動きを敏感に感じとり、それを売り場に反映させていると言えます。その努力には、いつも頭が下がります。

季節に合わせたフェアもあります。たとえば4月になると教育書フェアをやる書店さんが増えます。学校の新学期に合わせて、先生向けの本であったり、生徒さん向けの本だったり。新しく先生になったひとが、本屋さんで教育論や生徒との接し方の本を真剣に選んでいる様子が目に浮かぶようです。教育書フェアのなかに自社の本が入っていると光栄ですし、うれしいです。
夏休みや冬休みを狙った、文庫本のフェアは定番ですね。集英社さんの「ナツイチ」、新潮社さんの「新潮文庫の100冊」などです。このフェアの良いところは、読もうと思っていた小説を発見する機会が増えることでしょうか。じぶんも良く何冊か買います。
書店さんによく通うひとは、定番フェアで季節を感じることができます。

じぶんはまだ経験はないのですが、仲の良い書店員さんと書店営業さんがタッグを組んでフェアを行う場合もあります。戸田書店掛川西郷店さんのブログ(http://amba.to/lqlQeo)に、現在エイ出版社さんのフェアやっているらしく、その名も「エイ出版社書店」。斬新です。ブログを拝見すると、すごく面白そう。テントまで張っているみたいですね。そして、エイ出版社さんの多様なジャンルの雑誌やムックがあるからこそできるフェアであると思います。この企画はどのような形で実現したのかはわかりませんが、豪快なフェアですね。なんという面白さでしょうか。まだ伺ったことのない書店さんですので、いつか訪問したいと考えています。

さまざまなフェアを紹介してみましたが、いかがだったでしょうか。近くにある本屋さんを、フェアを通してみると、また違った魅力が出てくるかもしれませんね。