【3月新刊案内1】柴田勝征著『算数教育と世界歴史言語学』

明日25日、東京では桜の開花宣言が見込まれているそうです。
日もだいぶ延び、いよいよ春ですね。

春は出会いと別れの季節。この3月で福岡大学を退官なさる柴田勝征先生が、渾身の一冊を出版なさりました!

その名も『算数教育と世界歴史言語学』!

小学校でも躓く生徒が多い「くり下がり」の計算。それを見事に克服する福岡県の算数教育実践を見て、著者は言語と認知の構造的差異に気が付き、ズームアウト/ズームイン型認知仮設を提唱!この仮説と矛盾するチョムスキー理論に対し、本人にアメリカで詰問するスリリングかつダイナミックな一冊です。

ズームアウト/ズームイン型認知とは?
簡単に説明すると……

13以上の数を数える時、日本語では
じゅうさん
じゅう
じゅう

と数えますよね。この時、「十」が先に来て、具体的な数は後の方に来ます。最初に漠然とした情報を与え、後に詳細な情報が来る。これがズームイン型認知です。

反対に英語は

thirteen
fourteen
fifteen

と、10を表す数の方が後に来て、具体的な数字は最初に述べられます。このように細部の情報から、大きな情報に向う言語の在り方が、ズームアウト型認知です。

これら言語・認識構造の違いがいかにして築かれたのか、詳しくは本をお読みください。日本語・英語だけでなく、100以上の言語について、さらに言語以外の文化についても詳細に分析されています。

700頁を超えるけれども、話し言葉で書かれたとっても分かりやすい&面白い内容です。歴史的な一冊になるかもしれない世紀の問題作(?!)、ぜひお手にお取りください。